耐候性鋼の歴史2:日本

日本における耐候性鋼の開発研究は、アメリカから耐候性鋼が導入された1950年代後半になってからです。

当時の日本の鉄鋼各社によって、盛んに耐候性鋼の研究が行われました。耐候性鋼の製品化の歴史は、1957年に日本鋼管が含銅鋼に若干のP(りん)を添加した成分系の耐候性熱延鋼板「CUPLOY」の販売を開始したのがスタートといわれています。

JFEスチール株式会社
JFEスチール株式会社

日本の耐候性鋼

次に、1958年に川崎製鉄もCu-P系の耐候性鋼張力鋼を販売を開始しました。八幡製鉄も1960年にCu(銅)、P(りん)、Cr(クロム)を含んだCu-P-Cr系のYAW-TEN50を開発しました。また、同じころ、富士製鉄がU.S.Steel 社と技術提携したCu(銅)、P(りん)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)を添加したCu-P-Cr-Ni系の耐候性鋼張力鋼CORTENを販売開始しました。

当時、すでに米国では大量に使用された実績があったことと、日本でも耐候性鋼の性能を示すための多くの腐食試験があったために、日本国内でも徐々にひろまっていきました。さらに、日本鋼管では、Mo(モリブデン)を加えた、Cu-P-Cr-Mo系のCUPTEN、1961年には日本製鋼所がZr(ジルコニウム)を加えたCu-P-Cr-Zr系のZIRTEN、1963年には住友金属、1964年には川崎製鉄がCu-P-Cr-Ni-Nb系のRIVERTENを、神戸製鋼所がP-Cu-Ni-Cr系のTAICORを発表しました。

新日本製鉄株式会社
新日本製鉄株式会社

日本の耐候性鋼は高性能?

日本の鉄鋼メーカーが知恵を出し合い、日本の環境にマッチした耐候性鋼が出来上がっていきました。これらの耐候性鋼はいずれもCu(銅)、P(りん)、Cr(クロム)をベースとした耐候性の高い鋼材で、主として船舶、鉄道車両に塗装して用いられました。

KOBELCO 神戸製鋼
KOBELCO 神戸製鋼

耐候性鋼のネーミング

それにしても、日本鋼管の耐候性鋼の当時の名称は「CUPLOY」です。銅(Cu)とりん(P)を含んだ合金(ALLOY)だから、「CUPLOY」なのでしょうか? 川崎製鉄は「川」(=RIVER)だから、RIVERTEN、日本製鋼所はZr(ジルコニウム)を加えたからZIRTENなのでしょうか?

研究の賜物の製品の割には、面白くてわかりやすいネーミングですね。

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