耐候性鋼のメカニズム

耐候性鋼(たいこうせいこう)は大気中において乾湿を適切に繰り返すうちに、その表面に緻密で密着性に優れたさびが形成されます。 耐候性鋼は腐食速度が遅くなるため、無塗装でも使用できる「さびでもってさびを制する」鋼ですが、耐候性鋼特有のさびは「保護性さび」と呼ばれることがあります。

図は耐候性鋼材と普通鋼材のさび層の比較を模式的に示したものです。耐候性鋼材の保護性さびは普通鋼材のさび層と はことなり、2層構造をとっています。2層構造の外側が外層さび、鋼材に近い内側が内層さびとよばれます。

耐候性鋼のメカニズムの写真2-1


耐候性鋼の「保護性さび」

耐候性鋼の「保護性さび」は、内層さびに特徴があります。この内層さびは、耐候性鋼に少量添加されているCu(銅)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、P(りん)などの合金元素が濃縮して、緻密で微細なさび層を形成していると考えられています。さびが非常に細かく、非晶質さび層ともよばれます。この保護性さびが高い環境遮断機能を実現して、防食性を発揮すると言われています。

腐食量の図

「保護性さび」生成条件

耐候性鋼特有の「保護性さび」ができるには、適量のCu(銅)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、P(りん)などの合金元素を含有しいることと、大気中での適度な乾湿の繰り返しの2つの条件が必要です。

いくら耐候性鋼といえども、海や川の水の中など、常時濡れている場所では、「保護性さび」は生成されません。また、「保護性さび」は一日や一週間で出来るものではなく、数ヶ月から時には数年かかってゆっくりと形成されていきます。

緻密なさびが鋼材表面を保護しながら、時間の経過とともに徐々に形成されていく様子に自然の不思議を感じませんか?

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