「さび」で錆を制する鋼 耐候性鋼とは?

耐候性鋼(たいこうせいこう)は、少量のCu(銅)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、P(りん)などの合金元素を含有した低合金鋼です。大気中において乾湿を適切に繰り返すうちに、その表面に耐候性鋼特有の、緻密で密着性に優れた「さび」が形成されます。

この耐候性鋼に特有の「さび」のおかげで、耐候性鋼の腐食速度は遅くなり、通常の鋼とは違って、無塗装(裸)でも使用できるようになります。いわば、「さび」が塗装の代わりをするということです。 このことから、耐候性鋼は、『「さび」でもって「さび」を制する」鋼』と呼ばれています。

耐候性鋼橋梁の写真1-1


錆びない鉄?

耐候性鋼は、適切な使用方法と適切な維持管理により、耐候性鋼本来の優れた性能を発揮するようになります。 耐候性鋼は、少量のCu(銅)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、P(りん)などの合金元素が含まれているために、普通に建築用に使われる一般鋼よりも、高価になります。ところが、耐候性鋼は施工後の塗装塗り替えなどの工費を含むトータルコストを考慮すると、一般鋼を使うよりも安く上がるのです。

インドにある錆びない鉄塔1

インドの錆びない鉄塔

インドにある錆びない鉄塔の話をご存知でしょうか? インドのニューデリーに錆びない鉄塔があります。デリーの鉄柱とも、チャンドラヴァルマンの柱ともいわれています。アショーカ王の柱の一種で、インド・デリー市郊外の世界遺産クトゥブ・ミナール内にあります。

紀元415年に建てられたといわれるこの錆びない鉄塔は、直径は約44cm、高さは約7m、地下に埋もれている部分は約2mもあり、表面にはサンスクリット語の碑文が刻まれています。この鉄塔は、1600年もの間、屋外にさらされているのにさびていないそうです。魔法の鉄と騒がれたことが有りますが、成分的にはステンレス鋼などの特殊なものではないそうです。それよりも、降水量が少なく、環境汚染が進んでいないという気象条件が有利に働いているといわれています。

インドにある錆びない鉄塔2

耐候性鋼はすばらしい

少子高齢化の日本において、社会資本である橋梁を次から次へと架け替える政策は今後採用されないでしょう。橋梁の寿命は30年といわれていたのが、いまでは100年を目指しています。10年おきに塗装を塗り替えると、100年トータルで考えると非常にコストが高くなります。

このような長い目で見ると、耐候性鋼は塗装する必要がないので、費用が安くなります。このメリットが着目され、近年鋼橋への採用が増えてきています。「さび」で錆を制する鋼耐候性鋼ってすばらしいですね。 。

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